東京音楽大学のキャンパスを見学しました。

2022.10.18

夏真っ盛りの8月10日。

春になるとお花見で賑わいをみせる目黒川近くに建設された「東京音楽大学」を見学しました。

最初に目に映る外壁の杉板本実化粧打ち放しコンクリートの美しさに心がワクワクします。また、敷地の中ほどに、中目黒と代官山を繋ぐ「音楽の道」を設け、一般の人に開放して、大学と街の距離感を縮め、賑わいを演出しています。

音楽を学ぶ環境として、約80のレッスン室・約60の練習室・大中小合わせて22の教室・レコーディングスタジオ・音楽ホール等で構成され、各部屋の音響空間は緻密に設計されています。特にレッスン室は、3種類の孔のサイズ・ピッチを変えた一種類のボードで全周波数をバランスよく吸音し細やかな音響空間が実現出来る壁パネルを設けています。また様々な音楽空間を繋ぐパブリックスペースとしてのラウンジ・カフエ・レストラン等は外部の豊かな緑を取り込み、様々なコミュニケーションが誘発出来るように工夫されています。

施工面では、エントランス正面の高さ12ｍの壁面を、鉄筋を増やして膨張剤を使用することで誘発目地を無くした杉板本実化粧打ち放しコンクリートにより美しく実現させています。設計者のこだわりを施工者の技術力でカバーし、執念さえも感じます。全体的に細部までのディテールのこだわりにより、建物全体に統一感が感じられ、心地よい空間に包まれた建物となっています。

（教育環境研究会）